武蔵小山創業支援センタートップ

VOL.21

一度聴いたら忘れられない!
癒しの音色、楽器オルゴールの販売

楽器オルゴールEmi 秀島 えみさん

・事業所名:EMI-MUSICBOX
・創立年月日:2015年7月10日
・URL:http://music-box.jp/
・事業内容:楽器オルゴール販売

楽器オルゴールとの出会いは運命

私が楽器オルゴールを知ったのは、息子が6ヶ月のとき。育休を利用して起業準備を始めていた頃です。「子どもにいい音楽、本物の音を聞かせたい」と探していた中、これまで聴いたこともない温かな音に出会った衝撃は今でも忘れません。
作家の永井さんの技術と人柄に惚れ込み、さっそく自宅用にと購入。
聴けば聴くほど癒されるそのオルゴールの音色は、息子と自分の声、そして無機質な家電の音に囲まれた育児生活に驚くほどの潤いをもたらしてくれました。

木を通して響く楽器オルゴールの音は、波の音や鳥のさえずりといった自然の音を聴くのと同じでα波が出やすく、リラックス効果を与えてくれます。オルゴールが我が家に来てから、私自身、「深い睡眠がとれるようになった」のははもちろん、訳もなく泣いていた息子が泣き止んだり、家族のイライラがなくなったりと、ストレスが軽減していくのを肌で実感。この経験を伝えたい、他の人にも知ってもらいたいと思うようになりました。

「永井さんがつくる楽器オルゴールを売りたい!」
やりたいことがはっきりと見えたとき、それまで漠然としていた起業の夢が、一気に現実のものとなって動き出しました。


オルゴール販売と派遣社員のダブルワーク

育休終了後、派遣社員として復職した私は、まだオルゴール販売一本でやっていく自信がありませんでした。作家の永井さんとの契約は済んでいましたが、商品の供給が上手くいくのか、販路の開拓をどうすればいいのか、先が見えない状態で不安だったのです。

そんな中、参加したのが武蔵小山創業支援センターの起業スクールです。以前から、さまざまなセミナーで勉強させてもらっていたセンターは、補助金制度や事業計画書の書き方など、未知の世界の扉を開いてくれる存在。「自分のやりたいこと」をじっくり聞いてくれる心の拠り所でした。

起業スクールは週末に開催され、託児付きで安心して参加できました。それまでは、想いはあっても具体的な言葉や数字に落とし込むことができていなかったので、講座の内容は大変役立ちました。

徐々に時短にしていき最後は9時~12時の勤務時間を認めてくれた職場の後押しもあり、仕事とオルゴール販売のダブルワークを続けること2年。友人を集めての演奏会や紹介で、少しずつ楽器オルゴールの受注を取れるように。「購入して本当に良かった」「がんばって広めてね」というお客様の声が、事業を続けていく糧になっていきました。

初めての実店舗販売が教えてくれたこと

「そろそろ仕事を辞めてオルゴール販売に専念したい」と考えていた頃、溝の口フィオーレの森に空き店舗が出るという話が舞い込んできました。「本物しか置かない」というコンセプトは、まさに楽器オルゴール制作者の永井さんや私の想いと同じ。「何としてもここでお店をオープンしたい!」という気持ちが通じて、2017年1月から1年間、実店舗での販売が可能になりました。

初めて経験したお店での営業は、日々勉強の場でした。音楽家のお客様からは音楽の知識を。女性起業家だった女性からは仕事と家庭の切り盛りの仕方を。ケーキ屋さんからは作り手としての在り方を。
さまざまなお客様や他店舗のオーナーとのふれ合いが、事業家としての私を育ててくれたのです。

また事業一本に専念できる環境は、楽器オルゴールに向き合う私自身にも大きな変化をもたらしてくれました。
調律のやり方を習うようになったのは、静かな空間でオルゴールの音だけに集中できたことがきっかけです。初めて自分で調律した音を聴いたときは感動し、「自分自身が好調でなければいい音にならない」と、その責任の重さを実感しました。

楽器オルゴールは、買っていただいた方の家に一生残るものです。「お客様が求めているものをしっかり把握し、その人に合ったものをお勧めするのが自分の使命」と、起業の想いを再認識した1年でした。


 

世界中に楽器オルゴールの癒しを届けたい!

起業準備から実店舗での販売を経て、「もうダメかも……」とくじけそうになったことは一度や二度ではありません。
そんなときいつも頭に浮かんだのは、武蔵小山創業支援センタースタッフの皆さんの顔でした。
自分のことのように関わってくださったこと、さまざまな方向性を示してくださったことが、心の支えになっていたのです。応援してくださる方がいるのだから、何とかして続けていきたいと思えました。

2018年の1月から3ヶ月間、センター1階のトライアルショップに入居できたのも大きなご縁。
このチャンスを活かして楽器オルゴールの可能性を広げていきたいと考えています。

たとえば開店初日から毎日来てくださる高齢のお客様。彼女のご主人は認知症ですが、大好きな歌があり、それだけはよく覚えていて口ずさむそうです。
「楽器オルゴールを買うなら主人が好きな歌を聴かせてあげたい」という想いで、さまざまなオルゴールの音色を聴きに通っていらっしゃいます。

人によってオルゴールから受けるものは違います。その人が今どんな状態にあり、何を求めているのか、お客様の想いを受け止めることから始めたい。お客様が心地よいと感じる音を一緒に探していきたい。この販売スタイルを変えることなく、楽器オルゴールの癒しを、より多くの人に届けたいと思っています。

江戸指物の楽器オルゴールは日本独自のもの。木に響きを移し、木の繊維にそって音を響かせます。
東京オリンピックを機に、このやさしい音色を世界の人にも知ってもらいたい!
ストレスの多い世の中だからこそ、心に響く癒しの音色は「音のサプリメント」として、世界中の人に受け入れられると信じています。

夢は海外でも展示会を催し、楽器オルゴールを世界中に広めていくこと。
そのためにも販売だけでなく、今後は制作の技術も磨きながら、楽器オルゴールで社会貢献したいと考えています。

 
 

インタビューを終えて

大秀島さんが奏でてくれた楽器オルゴールの音色は、イメージしていたオルゴールの金属的な音と違い、深く心に沁み込むものでした。木の箱に響かせるだけで、こんなにも重厚な音に変わるとは驚きです。まさに楽器オルゴールは、オモチャのオルゴールではなく楽器そのもの。作家の永井さんと契約を結ぶ際、「オルゴール屋さんでは売りたくない」と言われたというのも頷けます。
何が癒しになるかは人それぞれですが、この楽器オルゴールの音色が、老若男女を問わず多くの人の心を穏やかにするのは間違いないでしょう。
トライアルショップは2018年3月末まで。ぜひその音色を聴きに訪れてみてください。

(インタビュアー 物語ライティング)

 

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